築年数の経過したマンションを購入する際、検討して欲しいこと

不動産コラム

躯体や構造、内装・設備だけじゃないのです!

マンションを購入する際、どうしても、立地と階数以外は、マンション躯体や構造と内装・設備の事を中心にご検討されることが多いと思います。

最近では、管理のことも、本や雑誌で取り上げられるようになり、関心も出て来ました。

マンションには土地の持分があります

そこにもう一点、建て替えが出来なかった場合に土地として売却した場合、どのくらいの価値があるのでしょうか?という事も、頭の片隅に入れて頂けると、検討する幅が広がります。

例えば、当初容積率が200%以上あって、土地に対するマンション全体の延床面積制限いっぱいに建てたとします。その後、都市計画の用途地域等が変更になり、現在では、容積率が80%になってしまった・・・そういうマンションも数多く存在します。

その場合、よくそのマンションは「既存不適格」などという言葉をつけられ、不適格という言葉の印象から、建築当初から、法令違反もしていなかったマンションだったにもかかわらず、「買ってはいけないマンション」と思われている方さえいます。ゆえにそのマンションは近隣より価格が下がっているなど、実はお買い得だった!というケースもあります。

そんなときの価値の考え方なのですが、敷地権(所有権)マンションは、敷地に対して持分を持っています

既存不適格のマンションが古くなって建て替えようとすると、現状の法令では、新しい基準が適用されて、半分の面積しか建てられないということもあります。

そうすると、建て替えに同意する所有者があまりいなくなり、ゴーストタウン化するのでは?と心配されたりします。

しかしながら、敷地権(所有権)マンションは、敷地に対して持分があるので、マンションを取り壊して更地にして売却したとすれば、それは【売却した金額-諸費用】=【資産】と考えられるのではないでしょうか

専有面積が20坪前後のマンションで、土地の持分が10坪相当あったとして、周辺相場が坪100万円で取引されているとすると、減歩率※1が22%で諸費用を払ったとして、計算しても700万円程度は少なくとも価値が残っていると考えても良さそうなものです。

建て替えや売却に関しては、現在住んでいる方にとっては、辛い選択と思うケースもあるので、それが進まないリスクや時間がかかる間、そのマンションを維持する為のリフォーム等という負担やリスクは存在します。耐震の面で最近のマンションに見劣りする面もあるかも知れません。
それでも、土地の持分を価値として認めないかのような最近の風潮には、かなり違和感を覚えます。

もちろん、現在の主流の査定法である、取引事例比較法や収益還元法に鑑みて考証することも必要かもしれませんが、あまりに古いマンションに対して、評価が低すぎると思ったので、あえて書かせて頂きました。

※マンションの建て替えを伴わない全体の売却に関して現在の法制度では所有者全員の賛成が必要となります。但し緩和する法改正が検討されています。マンションの土地売却に関しては、減歩率※1をあまり必要としないケースも多々あります。

※1 減歩率
減歩※2地積の整理前の宅地地積に対する割合を減歩率という。減歩率は、公共減歩率と保留地減歩率とに分けることがあり、この両者の合計を合算減歩率ということがある。

※2 減歩
区画整理などで、道路・公園等、公共用地を生み出す為に、それぞれ所有者の宅地面積を整理前より減らす事

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