先日、不動産購入について、購入を考えている物件が妥当な金額なのかどうか、ご相談がありました。
不動産を売ったり買ったりするときの心配事の一つで、価格の妥当性というのは、多くの人が最も気になる点ではないでしょうか?
不動産業者が価格を述べるときは、根拠を明らかにしないといけません。(※注1)
査定をしていく際、「取引事例比較方式」を使う場合が多いのですが、これは、簡単に言うと下記の考え方です。
4,800万円で成約した成約事例土地を評価すると、評点は120点になりました。これを査定対象地と比較すると、査定対象地の判定・評価の評点は、115点ですので、査定価格は4,600万円という計算になります。
※ 査定対象地 :査定の対象となる住宅地
成約事例土地:査定対象地と類似する、実際に成約した事例の住宅地
ここでの判定・評点ですが、かなり細分化されています。
住宅地の査定で、例を上げてみると、
- ①交通の便
- (1)徒歩圏・バス圏・・1分刻みで点数を付けます。
- (2)徒歩分・・・・・・1分刻みで点数を付けます。
- (3)バス分・・・・・・5分刻みで点数を付けます。
- (4)バス停まで徒歩分・1分刻みで点数を付けます。
- (5)バス運行変度・・・バス便数の選択。
- ②近隣の状況
- (1)店舗への距離
- (2)公共施設利用の利便性
- (3)街並み
- (4)近隣の利用状況
- ③環境
- (1)騒音・振動
- (2)日照・採光等
- (3)眺望・景観
- ④供給処理施設
- (1)排水施設
- (2)ガス施設
- ⑤街路状況
- (1)方位
- (2)幅員
- (3)路面の状況(舗装等)
- (4)周辺街路の整備・配置
- ⑥画地状況
- (1)間口・敷地形状
- (2)路地状敷地
- (3)崖地・法地状態
- (4)都市計画道路の影響
- (5)高圧線下地・前面道路との高低差
- ⑦流通性比率
例えば、
⑤街路状況の(1)方位において、東南の角地であれば、標準の北道路と比べると「13ポイント高い」
(2)幅員が4mと6mの場合を比べると、6mの方が「3ポイント高い」
のような基準を決めています。
このような詳細につきまして、お知りになりたい場合は、個別にはお答え出来ますので、お問い合わせ下さい。
お問い合わせはこちらから。
また、より正確な査定をするには、当然ながら、査定される土地に近い条件の成約事例地を、多く比較した方が、良いということになります。(事例ごとに価格の違いが出てくることもあります。)また、急いで売ったとか買った事例や5年前の事例、マンション用地と住宅地の比較など、査定の対象としてはいけない事例もあります。
これらの標準を知った上で、お客様が心からご満足頂けるお取引に貢献できたら幸いです。
(※注1)
宅地建物取引業法 より抜粋
(媒介契約)
第三十四条の二 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。
一 略
二 当該宅地又は建物を売買すべき価額又はその評価額
三~七 略
2 宅地建物取引業者は、前項第二号の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。
皆様が、不動産を売ったり買ったりされる時、価格が妥当なものなのかどうか、考える事があると思います。その際、担当している不動産業者に価格の妥当性を尋ねることもあるかと思います。その際、不動産業者は媒介価格に関する意見の根拠の明示義務を、負っています。それは、
納得して売ったり買ったりしたいと思うお客様へ、不動産業者が誠実に対応するための戒めなのです。
国交省のホームページにガイドラインが載っています。
4 媒介価額に関する意見の根拠の明示義務について
(1)意見の根拠について
意見の根拠としては、価格査定マニュアル(財団法人不動産流通近代化センターが作成した価格査定マニュアル又はこれに準じた価格査定マニュアル)や、同種の取引事例等他に合理的な説明がつくものであることとする。
なお、その他次の点にも留意することとする。
① 依頼者に示すべき根拠は、宅地建物取引業者の意見を説明するものであるので、必ずしも依頼者の納得を得ることは要さないが、合理的なものでなければならないこと。
② 根拠の明示は、口頭でも書面を用いてもよいが、書面を用いるときは、不動産の鑑定評価に関する法律に基づく鑑定評価書でないことを明記するとともに、みだりに他の目的に利用することのないよう依頼者に要請すること。
③ 根拠の明示は、法律上の義務であるので、そのために行った価額の査定等に要した費用は、依頼者に請求できないものであること。
赤字太字等は当社にて付加しました。