最近、わんこの行動や心に対しても興味を持つ熱心な飼い主さんに出会う機会が増えたと感じます。それは「愛犬との心の距離を縮めたい」「一緒に暮らす上で愛犬の気持ちを分かりたい」というスタンスで、「犬を飼う」から「犬と暮らす」というスタイルへの変化としてとても嬉しいです。一昔前は「犬のトレーニング」というと「矯正すること」というイメージが根強く「困ったことがあるからトレーニングする」という依頼が大半でした。
無関心に比べたら良い傾向だと思うのですが、残念なことにその熱心さが裏目に出てしまうこともしばしば見受けられるようになってきました。
1.「熱心」過ぎていろんなやり方のオンパレード
熱心にいろいろと調べることは悪くないのですが、聞きかじったことをお試し的にあれやこれやとやってしまい結果わんこに全く伝わってない、もしくは間違った伝わり方をしている現象が起こります。結果が出ないのでまた違う方法を試して…と迷宮ループにはまった飼い主さんから「一生懸命教えているのだけど覚えない」とご依頼が舞い込んできたりします。
「教えているけど覚えない」という同じようなSOSでもうひとつ。
2.「熱心」過ぎて結果を急ぎ過ぎる
これはよくあるパターンです。「トイレをなかなか覚えてくれない!」という1歳未満の仔犬ちゃんのケース。中には生後4ヵ月の仔犬ちゃんで「覚えない」とガッカリしている飼い主さんや、「家に迎え入れてから2週間も経つのにまだ覚えない。しつけの仕方が悪いんだ」とご自分を責める飼い主さんもいます。
排泄は人間の子供でもオムツやお漏らし課題はそれぞれそれなりに時間がかかることだと思います。指定の場所で排泄することを教え成功率が確実になっていくには、だいたい平均1年前後かかることも普通にあります。時々の失敗は2歳くらいでもあることかと思います。なので焦らず、失敗しずらい環境と成功しやすい環境を整えてどっしりと飼い主さんには長い目で構えていただきたい事柄です。
中には、こだわりが強い・神経質・内向的などのわんこで超早いうちから「トイレ完璧」という子もいることはいます。だからといって「うちの子はなんでできないのー!?」なんて比べる必要はなく、その子のペース、その子のタイミングがありますからそれを尊重できる保護者さんでいていただきたいなーと思います。
最後に。「熱心」が裏目に出てしまう最も残念なケースがもうひとつ。
3.「熱心」過ぎてお互いが楽しんでいない
お互い楽しめない理由のひとつが、「教えなければ」という想いが裏目に出て「イケナイ!ということを教える」ことにベクトルが向いてしまうかたがいます。してはいけないことを教えるだけでは真の解決にはなりません。「して欲しくないことを教える」よりも「して欲しいことを教える」に重点を置くことをお勧めします。
そしてもうひとつは、形式的になってしまうこと。
せっかくポジティブなトレーニングを選択して「褒める」ことに重点を置いていても「褒めなきゃ!」「ご褒美のフードをあげなきゃ!」と気負ってしまうと楽しさがなく逆に鬼気迫る勢いになることも。
形式的に「はい、いいこ!」と慌てて一粒フードをあげるより、タイミングが多少ズレたって「上手~♪いいこだ~♪」って心から嬉しいよ~、と感じながらゆったりご褒美のフードを上げる、こちらのほうが穏やかさも伝わりゆったりです。
時折、ご褒美のフードをわんこの口元にねじ込むように差し出す飼い主さんがいます。もちろんご本人はご褒美のつもりでフードをあげているのですが、わんこにしてみたら「わっ!急に食え!って言われてもビックリなんだよ~」って思っているのではないでしょうか。
まとめ
- 「オスワリ」や「フセ」などの『教え始めてすぐに結果が見えやすい』事柄と、「トイレ」「社会化」「甘噛み」などの『細く長く教えていって気付いたら身についている』事柄がある
- その子のペースやタイミングを掴めるようにする(名前やリクエスト(コマンド)の連呼をしない、など)
あなたの「熱心」さが愛犬にとって心地よいものとなるように願っています!
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