トレーナーという仕事をしていると「うちは夜一緒に寝ちゃって甘やかしてるから先生に怒られちゃうわ」と言われるケース、結構多いんです。
なぜか「一緒に寝る=甘やかす」というイメージがあるようで…。でも、私は自分の犬と一緒に寝るのは大好きです!特に冬を迎える季節、いい湯たんぽにもなります♪
犬は本来群れで暮らす動物ですので寄り添って寝ることはごく自然なことで、一緒に寝たからと言って言うことを聞かなくなるということとは結び付きにくい話と言えます。
ただ言えることは、わんこを飼うということは「人間社会で生活をさせること」。それを考えると「ひとりでも寝れるように」育ててあげることも必要な一面がある、ということです。
万が一、わんこに入院が必要になった時やお預けしてお泊りをさせる時など、これができないと相当なストレスになります。入院しても安静を保てず治療行為ができないケースや、旅行先で「お迎えに来てください」という連絡が来ることにもなりかねません。
心身共に休まる充電ハウスをわんこに作ってあげることを「ハウストレーニング」と言います。決して反省部屋や閉じ込め時間の長い隔離部屋であってはいけません。
以前にあった良いケースでは…
陽気でサービス精神旺盛、来客が大好きなわんこがいました。楽しいので来客がいる間中遊びに誘い騒ぎ、それは飼い主さんが夜通し来客と飲み明かしても朝まで一緒に起きているくらい。別の部屋もあり、飼い主さんが「もう寝なさい」と言っても聞かず夜通し騒ぎます。結果、決まって翌日は体調を崩し病院のお世話になるというお決まりのコースだったそうです。
そのわんこにハウストレーニングをしたところ来客応対が上手くなりました。もちろん来客に熱烈歓迎はするものの、ひとしきり騒いだ後に自らハウスに行き休み始めたそうです。その後も何度か起きてはみんなの輪に加わるものの、オーバーワークになることなく翌日も病院のお世話にならずに済んだそうです。
来客時以外でも遊び疲れたらハウスに休みに行く、というセルフコントロールができるようになり飼い主さんもすごく安心されていました。
別のケースでも…
チャイムで吠えて玄関に走っていき、飛びつきあわよくば脱走…というわんこにハウストレーニング。ハウスが大好きになった辺りで「チャイムが鳴るとハウスでご褒美もらえるよ」と教えたら、チャイムが鳴ると自ら「ハウス」に入るように。飼い主さんも安心して来客応対で玄関を開けることができるようになりました。
このような良い点だけでなく、一緒に旅行に行く時も安心できるハウスを持参でお泊りできれば、環境が違うことへのストレス軽減にも繋がります。これは災害等での同行避難でも同じと言えます。ハウストレーニングができない場合は飼い主さんと一緒に避難所にいられない場合もありますから。
ハウストレーニングとは、「人間の都合で閉じ込める」のではなく、「わんこが自ら休みに行く」…そう、ルンバが充電器に戻るようにです!
話を「一緒に寝る」に戻しますと、絶対にお勧めできないケースもあります。
わんこによっては「居心地の良い場所を占有したがる傾向」があり、ベッドやソファなどの居心地の良い場所を守ろうとするわんこもいます。
本当あったケースでは…
愛犬がソファに乗るとその半径1mは誰も近寄れず、横を通るだけで「ヴぅ~~!」という状態。家長であるお父さんでさえ触れない!ちなみにそのわんこはかわいい小型犬です。
他のケースでは…
夜寝ようと寝室のドアを開けようとすると、僅かな隙間から愛犬が我先に部屋に入り込みベッドの上にドン!と陣取り、遅れてやってきた飼い主さんを「ぅぅぅ~」とけん制。なだめすかしながら騙し騙しベッドに入るものの寝返りを打つ度に「ガゥっ!」と言われるという毎日。これは中型犬の例です。
こういったケースの場合には一緒に寝たり、その場所へのアクセスを制限し、トレーニングすることをお勧めしています。
「一緒に寝ることもできれば、別々に寝ることもできる」そこが肝心です。
例えばソファやベッドなどに「乗って」と「降りて」のリクエストコマンドを教えることも有意義なことです。
しつけは「先生に叱られないため」ではなく「愛犬のため」を目指して、愛犬に心身共に休まる充電場所を提供してあげましょう♪
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