皆さんは愛犬のことを日頃どんな風にほめていますか?!
わんこのしつけの本に「できたらよくほめてあげましょう」と書かれていたりします。人間の子供にしても、会社の部下にしても最近では「ほめてしつける」、「ほめて伸ばす」とよく言われています。
お悩みを抱えているわんこと飼い主さんから依頼をいただきお話を伺いに行くと「うちはよくほめてます。ほめてほめてほめ倒しています!」というおうちもあれば、「叱らないようにしていますが、でもほめてもいうこと聞かないんです」など様々。
「ほめる」だけとっても効果的ではなかったり色々な誤解も多々あります。
ウェルビードッグスクールは「犬のしつけ」を行うことがお仕事ですが、実はこういった愛犬に関しての知識や誤解をなどを飼い主様に学んでいただくことがメインでもあります。
「ほめるってヨシヨシって言っていればいいんじゃないの?」とシンプルに思われた方もいらっしゃると思います。ほめることは大変有意義で大事なことではありますが、その「タイミング」と「内容(ほめ方)」によっては違う伝わり方をしてしまうこともあります。
簡単に言えば「そのわんこにとって良いことがある」ことが報酬、褒めだと言い表せます。
「そのわんこにとって良いこと」と書きましたが、わんこそれぞれの個性によって「良いこと」は異なります。また、ほめ過ぎは興奮を誘い良くありません。
ヒトのことが大好きで触ってもらうことが三度の飯より好き!というわんこには、体を撫でることは嬉しいことだと思います。その一方で、触られるのが好きではないわんこを撫でてほめようとしても残念ながら嫌がられてしまうこともあります。健康管理の為にも体を触られることに最低限は慣らしてあげたいですが撫でられても喜ばないわんこもいます。
オスワリができた時に後者のわんこに「オスワリできたの!いい子だね!」なんて撫でようとしたらヒョイっと避けられ『嫌なことされそうになった。座ってなんかいないでどっか行っちゃお』となってしまうかもしれません。
犬に好まれる褒め方のコツ
ほめ方もわんこに好まれるコツがあります。
せっかく友好の気持ちを表すわけですから威圧感を感じさせないために姿勢をまっすぐよりも後ろに引き気味で。ほめる声掛けは穏やかに、特にゆっくり息を吐くように「グ~ッド」とか「上~~手」と幸福感を共有する感じです。その中でも「い~~い子」はオススメです。口角が「イー」と広がる表情は威圧のないボディランゲージとして伝わるからです。
撫でる場合ファーストタッチが大切です。わんこの目よりも下を片手でゆっくりタッチします。この時、手のひらではなくふんわり握った手の甲でタッチしてあげることで親愛の情を伝えます。イメージとしては母犬が仔犬ちゃんを優しく舐めるようにです。
また、手前側から少し押すように撫でるもの良いです。わんこが体を押しつけて身を預けてくれるのが理想です。抱え込むように撫でると触られるのが好きなわんこであっても避けたりすることもあります。接し方が強烈すぎませんかーとわんこからメッセージが出ているかもしれません。
ほめるタイミングは…
- 穏やかな時
- 良い行動をしている時
- 良い行動に近づいている時
- 良い行動をしようとした時
…などです。
例えば、お散歩に行くためリードをわんこに着けようとした時、はしゃぎ回るわんこに対して「はいっ、いい子!いい子。いい子にして!」という光景はわんこにはどう伝わっているでしょうか。「走り回ることを推奨されている」と伝わりお散歩に出るまでが一苦労になりがちです。
最初の話題で出た「ほめ倒してます!」というおうちですが、実は吠えて興奮するわんこに向かって「いい子!お利口さんでしょ!」と…ほめていました。「ほめている」というよりは「一緒に吠えている」という光景なのです。これでは興奮して吠えることを助長してしまう結果に。
間違ったタイミングでほめてしまい、本当にほめるべきいい子な時に全く気が付かない飼い主さんって多いのです。悪いところは目につくものですが、いいところを探すって意識しないとできません。
「ここがほめどころですよ!」と直接ご指導させて頂くと飼い主さんも意識して愛犬のいいところを見つけられる習慣が生まれ、こういう積み重ねで愛犬との意思疎通が深まり信頼関係が築かれていくのだと感じます。
「ほめるってなんだか上から目線で気が引ける」という方もいらっしゃいました。「ほめる」という行為は「愛犬の行動に対して共感したい所を評価すること」と思います。「それいいね!」ということなのです。「ありがとう!」とか「いいね!」という気持ちに置き換えることをオススメしました。
オイデ!と呼ばれて来たわんこは「ありがと~、来てくれたの、いい子ね~」と、それこそほめ殺し。正しいほめ殺しにそのわんこはデレデレでとても誇らしげに見えました。
他にもフードが好き、走ったり遊ぶのが好きなど。個性を見て他にも愛犬にとって嬉しいことはないか探したり、作ったりしてコミュニケーションを深めていけることを願っています。
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