暖かい春の陽だまりの中で、わんこをなでてのんびりと時を過ごす…。
犬好きな私としては理想的な光景だなぁと思います。
「オキシトシン」ホルモン
「オキシトシン」幸福感や安心感に影響するといわれるホルモンです。
麻布大学の研究チームが『わんこが飼い主さんを見つめ、飼い主さんがわんこと触れ合うことで、お互いに心の絆を深めていく』という実験結果を昨年発表しました。この幸せ物質である「オキシトシン」のことを「愛情ホルモン」「抱擁ホルモン」とも呼ぶそうです。
わんこもオキシトシンが分泌され、幸福感を感じるとのこと。まさに癒し、癒されですね。
しかし、トレーナーをしていますと「そんなのうちの犬に限ってないね!」と言わんばかりのお悩みが寄せられます。
「うちの犬、なでようとすると唸るんです」
「抱っこして顔をスリスリしたら鼻を噛まれました」など。
せっかくかわいがってあげようとしているのに!という飼い主さんの言い分も分からなくもないのですが、ちょっとわんこの言い分にも耳を傾けてみましょう。
例えばわんこの言い分例として
- わんこA:「いつもしつこくするから段々嫌になってきちゃうんだ」
- →これは「無制限になでられるのが好き」というわんこもいれば「なでられることは嫌いではないけど好きでもない」というわんこもいます。人間もしつこいのは嫌われちゃいますよね?犬の世界・犬同士でもしつこいのは嫌われます。ほどほどに。
- わんこB:「急にワッと触ってくるからビックリしちゃうんだ」
- →なでられるのが好きなわんこでも、手のひらに対して人間が思う以上にストレスを感じているものです。それが前触れもなく急に触ったり、わんこの目線よりも上から触れば「捕獲・捕食される」という感覚から咄嗟に身を守ろうとするのも(噛んで良いということではありませんが)理解できますよね?
- わんこC:「また痛いことが起こるんじゃないかって不安なんだ」
- →怪我や病気、治療で痛みや不快感を経験していたり、体罰的な痛みを与えたことがあると「人間の手は時折痛みをもたらす」と警戒をする要因になります。
特に仔犬の甘噛みの時期に間違った方法、一例をあげると「ピンッと鼻をはじく」「口をギュッと掴む」「下あごをつまむ」「口の中にゲンコツを押し込む」などは手を嫌いになりなでようとする手すら攻撃の対象となってしまうことがあります。 - わんこD:「アタシ犬一倍オシャレには気を使っているの。なのにママったらいつもアタシの頭全体をグシャグシャにしようとするのよ」
- →毛並みを逆なでるのは気持ちも逆なでます。遊びに誘う時は敢えてグシャグシャ触って興奮を誘うこともありですが、お互いまったりしたい時にはヘアースタイルを乱すことなく毛並みに沿ってなでてあげられるとわんこも心地よいと感じやすいようです。
- わんこE:「パパったら自分から遊びに誘っておいてボクがノッたら怒るんだ。分けわかんない」
- →これはどんなスレ違いがあるかと言いますと、わんこは相手と同調しようとする性質があるので同じパワーで返そうとします。なのでテンション高くなでたり、なでるストロークが(うちわを扇ぐくらい)早すぎたりすると、わんこは口を使い同じパワーで返すことが噛みに繋がってしまうことがあります。
「抱っこして顔をスリスリしたら鼻を噛まれた」という最初の例では、「顔を近づける」「目をジッと見つめる」行動は、実はわんこにとって居心地の悪いボディランゲージでもあります。犬好きな人ほど噛まれる例として「かわいがりたい、愛でたい」という想いから『目を見開いて見つめてしまう』ことがあげられます。
見つめられても敵対するつもりのないわんこは目や顔を背けると思います。それはわんことして礼儀のある行動です。でも飼い主さんの「こっち見て!」という気持ちから抱っこして無理やり目と目を合わそうとした結果、「やめてっていってるでしょ!?なんでわかってくれない?」と目の前にあった鼻をかじってしまう行動に繋がってしまいます。
見つめあうことも、触れ合うことも相互の理解と関わりあいで深まります。
愛犬の温かい体温を感じられるようにふんわり触れ、穏やかに呼吸を合わせるようにしてなでるのも素敵なひとときと思います。一方通行の愛とならぬようお互い「オキシトシン」が出て幸せを感じ合いましょう!