日頃わんことどんなお話をしていますか?
そしてどんな風に話しかけているでしょうか。
R.E.A.Dプログラム
アメリカに本の読み聞かせを犬にする「R.E.A.Dプログラム」というものがあります。(「Reading Education Assistance Dogs」の略)
1999年にアメリカ・ユタ州の図書館で始まり、専門のトレーニングを受けた「読書介助犬」が子供たちの聞き役となります。例え子供が読み間違えたとしてもわんこは笑ったりしません。人前で話すことに抵抗があった子供の積極性が向上したり、本への興味が広がるといった報告があります。アメリカでは広く認知されていて、日本でも少しずつ活動が行われています。
日本の活動の中ではわんこの役目は聞き役だけでなく、子供達にわんことの接し方(犬のまえでは大きな声をださない。上から触らないなど)のレクチャーもあり、子供とわんこ双方に配慮されていて日本の活動では今日まで無事故で行われています。
これは主に子供に有用なプログラムとして行われていますが、他にもアメリカではわんこのために子供たちが保護施設で本の読み聞かせをするプログラムもあります。
保護犬は個室の中から子供たちの読み聞かせに耳を傾けます。ガラス越しの保護犬たちに「こどもの姿」「こどもの声」というものに慣れ親しみを促し、譲渡へのハードルを下げる効果も期待され行われています。最初は怖がって個室の奥にいた保護犬も、優しくじっと座って本を読む子供に次第に安心してかガラス越しにくっついてリラックスする姿も見られます。
日頃わんことどんな風にお話をしていますか?
最初の話に戻りますが、日頃みなさんが愛犬にかけている声は穏やかですか?
ゆっくりした空気?それとも慌ただしい感じ?もしかして、「ま~た、そんなことして!」
「それダメっていったでしょ!」な~んて、何かを取り除くマイナス発言やテンションの上がる声掛けばかりだったりして?
ご依頼がある飼い主さんたちの中には、本当にお忙しい方が多く「毎日が分単位で仕事や家事をこなしています。椅子に座って食事もできないので寝るとき以外立ちっぱなし」という驚愕の方もいらっしゃいました。
いつもこのソファでどれくらい休んでいますか?という問いに「さて。最近ソファに座れていないので前にいつ座ったか覚えていない」というような、忙しすぎて休まっていない飼い主さんが多いのです。そしてせっかくの愛犬との楽しいはずの暮らしも、愛犬の世話や対応に明け暮れてしまい負担が増すばかり、というケースも。わんこもヒトもくつろげずリラックスが乏しい状態なのは残念なことです。
もちろん仕事=収入があって暮らしていけます。わんこを養うためにも収入が必要だったりと、忙しいことを簡単にやめることはできないと思います。
ただ、わんことの諸々のコミュニケーション不足のストレスが「困った行動」に出たり、「体調不良」などの形で現れることも少なくないのです。
前述の「寝る時以外立ちっぱなし」の飼い主さんはあるキッカケがあり「自分だけが抱え込み過ぎない心がけ」をしたところ、わんことの穏やかな生活を得ることができました。もちろん最低限のトレーニングやアドバイスも込みではありますが、一番の土台は飼い主さんのリラックス。そのリラックスを構築する取り組みとしてマッサージも取り入れました。ゆっくり話しかけながら愛犬の体温を感じる。いつもなら落ち着きのなく走り回り吠え反応のあるわんこが、目を細め飼い主さんと同じリズムで呼吸をし、ウトウトしてくれました。
印象的だったのが、飼い主さんが穏やかに話しかけるとゆっくりと瞬きをしながら飼い主さんを見上げるわんこの目。とても穏やかで「こんな表情するんだ~」と私も飼い主さんも笑顔になりました。
一般的な例え話として「のんびりとしたおじいちゃん、おばあちゃんが飼っている犬は穏やか」ということがあります。
もちろん全てのケースではなく、わんこの素質・気質・犬種・年齢によっても異なりますし、それに最近にシニア(人間)はアクティブな方が多い!ですので一概には言い切れませんが、わんこは飼い主にペースを寄せることが多いです。
暖かな雰囲気、穏やかな空気、平和な静けさと共に愛犬に話しかけてみてはいかがでしょうか。
一緒に行った散歩での景色の話。今日の仕事の話。
そして「今」という穏やかな時間の話を。
参考資料「R.E.A.D.プログラム」の記事
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